密かなブームになっている「よもぎ蒸し」と大ブームの「サウナ」の違い
近年、サウナに続いて、よもぎ蒸しが密かなブームになっています。サウナは多くの方がご存じですが、よもぎ蒸しについては、よく知らないという方も多いのではないでしょうか。本記事では、よもぎ蒸しとサウナについて解説し、それぞれの違いについても触れています。これからよもぎ蒸しを始めたい方や、サウナとの違いを知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
よもぎ蒸しとは
よもぎ蒸しは、裸になってガウンをかぶり、よもぎの蒸気を膣や肛門の粘膜に吸収させて、体を芯から温め冷え性をはじめ、女性特有の症状を改善するものです。やり方は、まず穴のあいた椅子に座り、椅子の穴から煮立てたよもぎの蒸気を立ち昇らせて、デリケートゾーンに当てます。つまり、ガウンの中でスチームサウナの状態を作るのが、よもぎ蒸しなのです。
よもぎ蒸しは、体の芯から温める温熱効果と、よもぎを煎じた蒸気を粘膜から吸収させることにより、デトックス効果を引き出し、老廃物を体外に排出して健康な体を取り戻します。よもぎ蒸しを行ったあとは、体がホカホカして気分はスッキリ爽快になります。ガウンから顔を出して行うので、サウナが苦手な方でも心配いりません。
韓国が発祥
よもぎ蒸しは、約600年ほど前から、韓国で行われていた民間温熱療法です。最初は、産後の女性の体を出産前の状態に戻すために、用いられていました。まだ医療が発達していなかった当時は、産後の肥立ちが悪くて命を落とす女性も、少なくありませんでした。その後、よもぎ蒸しが産後の女性の体の回復だけでなく、婦人科系全般に効果があることがわかり、徐々に広まっていきました。
よもぎの成分
よもぎは、日本でも古くから薬草として、民間療法に使われてきました。よもぎにはCa、Mg、ビタミンA・B1・B2・Cなどの成分が豊富に含まれており、血液浄化、殺菌、末梢血管の拡張、抗アレルギー、抗ウィルス、新陳代謝促進などの作用があります。このように、よもぎには高い薬効作用があるので、煮立たせた蒸気を浴びれば、健康回復に役立つのは当然と言えるでしょう。
よもぎ蒸しの効能と注意点
よもぎ蒸しには、蒸気で体を温める温熱効果と、よもぎに含まれる成分が蒸気とともに立ち昇り、粘膜から吸収されることによるダブルの効果があります。よもぎ蒸しは、以下のような症状に効能を発揮します。
冷え性の改善
よもぎの成分には、体の冷えを解消する効果があります。よもぎを蒸した蒸気を浴びることにより、体を外側から温めながら、吸収された成分によって内側からも温めます。そのため、よもぎ蒸しは冷え性改善に、絶大な効果を発揮します。
多くの女性が冷え性で悩んでおり、その冷えのために、さらなる体の不調を招く場合もあるのです。このように、冷えからくる体の不調に悩む女性にとって、よもぎ蒸しは打ってつけの改善法と言えるでしょう。
血行促進
血液が滞ると、さまざまな体の不調の原因になります。血行促進は、体の健康のためには欠かせません。よもぎには、血のめぐりをよくする作用があると、東洋医学では言われています。そのよもぎを蒸した蒸気を浴びれば、血行促進に役立つのは当然と言えるでしょう。血行が改善すれば、さまざまな体の不調が改善していきます。
デトックス効果
よもぎ蒸しは、体にたまった老廃物の排出に、効果があるとされています。体に老廃物がたまったままでは、体が重く感じたり、気分がすぐれないといった症状が現れます。老廃物が排出されると、肩こりが治ったり疲労回復にも役立ちます。
代謝促進
よもぎ蒸しには、新陳代謝を促進する作用があります。代謝が活性化すると体が健康になり、体脂肪を減らす効果もあるので、ダイエットにも効果的です。
美肌効果
よもぎ蒸しは大量の汗をかくので、体がスッキリするとともに、デトックス効果も得られます。体の表面から老廃物が排出されるので、美肌効果もあります。よもぎ蒸しによって肌が若返れば、アンチエイジング効果も期待できます。
自律神経を整える
仕事や家事などでストレスがたまると、肌が荒れたり体に不調が起きるだけでなく、自律神経も乱れます。自律神経の乱れは、肉体にも精神にも影響を及ぼすので、見過ごすわけにはいきません。よもぎに含まれる成分には、リラックス効果があるので、自律神経を整えてさまざまな症状を改善することができます。
婦人科系疾患の改善
よもぎ蒸しは体の芯から温まるので、子宮や卵巣付近の血流がよくなり、生理不順や生理痛を改善し、子宮筋腫の予防にも役立ちます。また、妊活中の女性にも効果があるので、よい結果が期待できます。
よもぎ蒸しは自宅でできる?
よもぎ蒸しは通常、専用のサロンに通って受けますが、器具を揃えれば自宅で行うことも可能です。器具を揃えるには、ある程度お金もかかりますが、そのかわり一度揃えてしまえば、いつでも自宅でよもぎ蒸しができます。これは、よもぎ蒸しの効能を知り、長く続けたい人にとって、朗報と言えるのではないでしょうか。
自宅ならいつでも好きな時に、リラックスした気分でよもぎ蒸しができます。よもぎの蒸気を浴びながら、本を読んだり好きな音楽を聴くのは、格別なものです。週末にゆっくり時間を取って、よもぎ蒸しを行えば、新たな楽しみが生まれるでしょう。
用意するもの
用意するのは、乾燥よもぎによもぎ蒸し用の椅子、よもぎを煎じる電気鍋、肩から足先までを覆うマントです。汗を拭くタオルや、よもぎ蒸しの最中に読む本なども用意すれば、すべて準備は整います。
手順
よもぎ蒸しの手順は以下の通りです。
まず、椅子の下に電気鍋を置いて、乾燥よもぎを煎じます。
次に、蒸気が出てきたら裸になってマントをかぶり、椅子に座って蒸気を浴びましょう。
あとは、心地よく感じられるまで続けるだけです。よもぎ蒸しの最中は、こまめに水分を摂ることが大切です。
サウナとは
サウナは、温泉や銭湯にある施設の1つで、遠赤外線や蒸気などで、高温になった部屋に入って発汗を促すものです。サウナはフィンランド発祥ですが、現在では世界各国に普及して、サウナブームが起こっています。高温多湿のサウナで大量の汗をかくことにより、爽快なリフレッシュ感を味わえます。
サウナの入り方
サウナに入る前に、まず体を洗っておきましょう。次に浴槽に浸かって体を温め、サウナに入る準備をします。サウナは、5分から10分を目安にしましょう。我慢大会ではないので、無理をしないことが大切です。サウナを出たら、シャワーで汗を流して風呂に入り、クールダウンしてから水風呂に入ります。サウナを出て、いきなり水風呂に入るのはおすすめできません。
水風呂で体温を下げたら、またサウナに入りましょう。あとは、サウナと水風呂を数回繰り返してください。サウナと水風呂の組み合わせを、何回繰り返せばいいのかは、その日の体調によって変わります。「これ以上サウナに入るとつらい」と思ったら、そこでやめるのがベストです。
時間の目安
サウナに入るのに適した時間は、人によって違います。5分以上入れない人もいれば、10分以上入っても平気な人もいます。ベストなサウナの目安時間は、その日の体調によっても変わるので、つらくない範囲でなるべく長く入るようにしましょう。
サウナの効能
サウナにはいろんな効能があるので、次にご紹介しましょう。
健康増進
サウナに入ると体調がよくなるので、健康増進に役立ちます。サウナによって体が温まり、血流が促進され、体中に栄養と酸素が行き届いて、細胞内の老廃物が排出されるので、爽快な気分になります。血流が改善されれば、あらゆる病気が改善するので、健康増進に役立つわけです。
精神的疲労の軽減
サウナで汗を流すと爽快な気分になるため、悩みや不安が解消するというメリットもあります。人は不安を感じると、筋肉がこわばり体に力が入ります。こうなると、血管が圧迫されるので血流も阻害されます。
しかし、サウナに入ればたちどころにリラックスできるので、圧迫されていた血管も正常な状態を取り戻します。体が不調なままでは、精神的にもよい影響を及ぼしません。しかし、サウナによってリラックスできれば、よい結果をもたらすことができます。
美肌効果
サウナには、美肌効果もあります。サウナに入ると肌のツヤがよくなり、アンチエイジング効果も期待できます。サウナで体が温まると、血流が促進されるので、皮膚の表面の老廃物が排出されるために、美肌効果が得られるのです。
サウナの注意点
サウナは健康増進に役立ちますが、サウナに入る前にいくつか注意事項があります。サウナは健康維持や心身のリラックスに役立ちますが、注意事項を守らないと、思わぬトラブルに見舞われることもあるので注意しましょう。
サウナの前に食事をしない
サウナは体の表面から温めるので、表面に血液が集まって内臓の血液が減少します。そのため、食事をしてすぐサウナに入ると、消化不良を起こすおそれがあるので注意が必要です。どうしてもサウナの前に何か食べたければ、消化のよいものを少量だけ食べるようにしましょう。
ヒートショックに注意
ヒートショックは、急激な温度変化で起こります。冬の寒い日に、暖房のない脱衣場で服を脱いで、いきなり湯船に入るとヒートショックを起こしやすくなります。寒い脱衣場では血管が収縮しますが、湯船に入ると今度はお湯の熱で体が温まり、収縮していた血管が拡張して急激に血圧が下がります。
これがヒートショックの怖いところです。急激に血圧が下がると失神し、湯船で溺れることもあります。これと同様に、いきなりサウナに入ると、ヒートショックを起こす場合があるので、まずお湯で体を温めてから入るようにしましょう。
持病がある人は入らない
血管の病気や心臓病を抱えている人には、サウナはおすすめできません。サウナは、心臓疾患の予防にはある程度の効果がありますが、すでに心臓病にかかっている場合は危険が増すだけです。サウナに入ると、健康な人でも脈拍や血圧が乱高下するので、注意が必要です。
水分補給
長時間サウナに入る場合は、こまめに水分補給をしましょう。水分を補給せずにサウナに入ると、脱水症状を引き起こす場合があるので、注意しなければなりません。サウナに入って喉が渇いたら、我慢しないで水分を補給しましょう。また、サウナ中だけでなく、サウナの前後も水分補給が必要です。
補給する水分の合計は、500mlから1ℓくらいが目安です。正確な水分補給量を知るには、サウナの前後で体重を計ってみましょう。サウナ後に体重が減った分が、汗として出た水分ですから、同量の水分を補給すればいいわけです。
よもぎ蒸しとサウナの違い
いまや空前のサウナブームで、温泉やスパには、必ずといっていいほどサウナがあります。また、最近ではよもぎ蒸しも人気となっています。どちらも大量の汗をかく点は共通していますが、よもぎ蒸しとサウナには明らかに異なる点もあります。よもぎ蒸しとサウナの相違点を、まとめてみました。
よもぎ蒸しの特徴 | サウナの特徴 |
よもぎの有効成分を含んだ蒸気 | ただの蒸気 |
よもぎ蒸しの汗は皮脂腺から出る。体内の有害物質は皮脂腺から出るので、よもぎ蒸しには本物のデトックス効果がある | サウナの汗は汗腺から出る。ただの汗なので本物のデトックス効果はない(岩盤浴は別) |
蒸気はガウンの中にとどまり、皮膚や粘膜から吸収される | 体全体に蒸気を浴びる |
膣や肛門、子宮などを温める | 体の表面から温める |
冷え性や生理不順、不妊、更年期障害など婦人科系の疾患を改善 | 疲労物質を排出し肉体疲労を回復する |
本物のアンチエイジング、デトックス効果がある | ー |
顔に蒸気を浴びないので苦しくない | 顔にも浴びる |
リラックス効果がある | リラックス効果がある |
本を読んだりスマホを見たりできる | ー |
まとめ
よもぎ蒸しとサウナは、似ているようで違う点も多くあります。よもぎ蒸しは蒸気によって、女性のデリケートゾーンや子宮などを温めます。つまり、よもぎ蒸しが体の深部から温めるのに対して、サウナは体の表面から温めます。また、よもぎ蒸しには本物のデトックス効果がありますが、サウナにはありません。
よもぎ蒸しは女性特有の症状に効果を発揮しますが、サウナにはそのような効能はなく、リラックス効果があるだけです。サウナは大量の汗をかくので、爽快な気分になりますが、体の健康維持のためには、よもぎ蒸しのほうが適しています。よもぎ蒸しは、顔に蒸気がかからないので苦しくなく、本を読んだりスマホを見たりできる点も、サウナとは違います。